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第七章

「……まだ継続中だ」
 ミノルはちょっと考えてから答えた。
「そっかぁ。ま、それはそれでいいか。じゃあ、もう一つ質問」
「なんだ?」
「さっき、星来ちゃんのことを特別な存在といったよね。その特別な存在ってどういう意味? ズバリ、好きなんでしょ?」
 ミノルは直子のストレートな質問に思わずうろたえた。
「と・特別な存在は、特別な存在だ……」
「それじゃあ解らない! あなたは星来ちゃんが好きですか!? 『はい』か『いいえ』で答えなさい!」
「ちょっ、周りの人が見てるって」
 直子が大声をあげるのでミノルは慌てた。
 直子は声のトーンを下げると
「心配しなくてもゲーム継続中って事だから、星来ちゃんにはばれないようにしておくから」
 と言いながら、バッグから手帳を取り出して一ページ破ると、ボールペンと一緒にミノルの前に差し出した。
「言葉で言うのは恥ずかしいかもしれないからこれに書いて。『はい』か『いいえ』で」
 ミノルは紙とペンを手に取ると、しばらく考え込んでから直子に見えないように答えを書いた。そして、二つ折りにして直子に返す。直子は受け取ると書かれた答えを確認してやさしく笑った。

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