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第七章

「そう来るのねぇ……。いいよ、ミノルがそう言うのなら、今後一切あたしはミノルにも星来ちゃんにも会わないから。でも、そうなったらどうなると思う? あたしがいるから、こんがらがるだけで済んでるのよ。あたしがいなくなったらこんがらがるどころか、完全に進展は止まってしまうよ?」
 ミノルは言葉に詰まった。確かに直子がいなかったら、ミノルと星来は未だに何も進展することは無かっただろうし、ミノル自身も星来に対して“特別な存在”と感じる事も無かっただろう。
「あたしはミノルと星来ちゃんの仲を取り持ったキューピットなんだからね。少しは感謝しなさいよ」
「……お前がいなかったら他のもっといい女と出会えてたかもしれないからな、残念だよ」
「なぁにぃ〜?」
「冗談だって。ま、お前のせいでこんがらがってるって言ったのは取り消す。すまん」
「よろしい」
 直子はそう言うとムッとした表情からいつもの顔にもどった。
「で、今日はいったいなんのようだ?」
 ミノルの質問に直子はニッと笑うと
「二人の“ゲーム”の途中経過を聞きたくてね」
 と答える。
 “ゲーム”。嫌いあってるもの同士が付き合ったらどうなるか賭けようというのがその内容だ。ルールは、嫌いなものと付き合うことで精神的に参って根を上げたら負け、相手の事を好きになってしまっても負け、だ。

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