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第六章

「私が床でもいいんだけど」
「そんなことしたら、客を粗末に扱ったとかって、後で直子に怒られる」
「その直子さんはベッドではなくロフトに寝てるけど」
「家出してきたといってたろ。あれは客じゃなく居候だ。客なら大事にしないといけないけど居候は粗末にしても構わん」
 星来はクスクス笑いながら
「あとで言いつけてやろ」
 と言うが、ミノルも
「どうぞ。それで直子に滅茶苦茶言われても、今度は俺が直子の旦那に、いじめられたって泣きつくから」
 と答える。
「なんだかなぁ……。ま、いいか。ベッド、悪いな。じゃ、寝る」
「おう。お休み」


 数日後、直子は「家出に飽きた」などと言って帰っていった。



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