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第六章

 しばらくして頭上から直子の寝息が聞こえてきた。
「寝たか?」
 星来が聞いてくる。
「こんな状況で眠れるわけないだろ。腕がしびれてきた」
 ミノルはぶっきらぼうに答えた。
「じゃあ、腕引っ込めて。なんかゴツゴツして眠れない」
 腕を引っ込めてからも二人は全く眠れなかった。
「二人で布団の中に入ることって別に初めてじゃないのに、なぁんか目が冴えて眠れんな……。直子がいるせいかな……?」
「直子さんは関係ないと思う」
「?」
「確かに布団に入るのは初めてじゃないけど、あれは寝るためじゃなくてヤルためだったからね」
「相変わらず露骨な事を言うやつだな……」
 ミノルは呆れた声を出すが、その一方で、星来の言葉もある意味もっともだと思った。
「もう一枚余分の毛布があったな……。お前、このままベッド使え。俺は床に寝るわ。その方が落ち着いて眠れる」
 ミノルはベッドから出ると毛布に包まって床に横になった。


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