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第六章

「あ〜、恥ずかしかった……」
 ミノルが帰ってきたときには、女三人にぎやかに雑談していた。
 ミノルに気付いた恵は
「あ、おおきにぃ。恩にきるわぁ」
 と、ミノルから包みを受け取ると、いそいそとトイレに駆け込む。
 部屋の中に入ってミノルは愕然とした。どうやら紅茶を飲んでいるらしいのだが、ティーバッグではなく葉っぱで買ってきた紅茶を、無造作に急須で入れていたからだ。
「ちょっ! なに勝手に飲んでるんだよ! 高かったんだぞ、それ! しかも急須で入れるなんてもったいないことしやがって! ダージリンだぞ!」
「いいじゃん、いいじゃん。なに使って入れようと飲めば同じよ」
「同じじゃない! ちゃんと葉っぱが開くまでフキンとか被せて蒸らしたんだろうな?」
 ミノルの言葉に直子はキョトンとした。
「なにそれ? ほうじ茶と同じ入れ方でやったよ」
「あ〜! もったいねぇ〜!」
「まあまあ、ミノル。男なんだからあまり細かい事を気にしないように」
「お前が大雑把すぎるんだよ! ……って、おい! 直子!」
 紅茶の事で気が立っていたところに、ミノルはさらにとんでもない事を発見して、ことさら大きな声を上げた。
「なに?」
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