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第六章

「なあ、星来ちゃんの彼氏さん」
 いきなり声をかけられて恵の方に顔を向ける。
「悪いんやけど“竹輪”か“座布団”、買うてきてくれへん?」
 何の事か意味が解らずに呆けた顔をするミノルの耳元に、星来が口を寄せて意味を説明した。竹輪=タンポン、座布団=ナプキン、ということらしい。
「なんで男の俺にそんなもの頼むんだよ!? 星来に言えよ!」
 ミノルが大声を上げると
「せやけど、星来ちゃんとまだ話したい事あるし」
 と恵は答える。
「じゃあ、一緒に買いに行けばいいだろ!」
「歩いてそのはずみで漏れたら大変やん」

 結局、恵に言い負かされたミノルはサングラスをかけて帽子を深々と被って、しぶしぶとコンビニに出かけた。

「あ〜、気持ちよかった。あれ? ミノルは?」
 直子がシャワーが終ってユニットバスから出てきた。
「パシリ」
 直子の問いに星来は答えた。
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