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第六章「あのぉ、もし? おたくもセーラって名前なんですか?」と聞くミノルに星来はプッとふき出した。 「あ〜、店での名前がそうやから思わず返事してしもうたわぁ。ゴメンなぁ」 つまり、彼女の源氏名が『セーラ』というらしい。 「あ、そ……。じゃあ、メグミ!」 「なんや?」 「なに?」 またもや二人同時に返事をする。 「この娘、本名、恵っていうんだってさ」 星来がメグミで恵がセーラ……。ミノルは頭がこんがらがってきた。 「冗談で言ってるんじゃないだろうな?」 「はい」 恵がミノルになにやら渡す。見てみると運転免許証と店の名刺だ。嘘でも冗談でもなく、本当に本名が恵で源氏名がセーラであるらしい。ミノルは納得しきれない表情でその二つを返した。 「あっ! ちょっとトイレ」 恵が言いながら立ち上がる。 「あ、いま直子がシャワー浴びてるぞ」 |
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