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第六章

「うんと濃いぃのにしてやぁ」
 という声が聞こえたので、ミノルはコーヒーメーカーで作ったコーヒーにインスタントを混ぜた。普通に作ったのにインスタントを混ぜれば確かに濃くはなる。言うまでも無く邪道ではあるが。
「味は保証せんぞ」
 言いながらコーヒーとフレッシュ、角砂糖をテーブルがわりの炬燵に置いた(布団はしまってある)。
「ん〜、私はこういう液体のコーヒーフレッシュやなくてクリープが好みなんやけど」
「はいはいはい!」
 ミノルは内心、それなら最初からインスタントコーヒーにすれば良かったと思いながらクリープを取り出し、炬燵の上に置く。
「おい」
 ミノルが声をかけると
「誰を呼んでるの? 名前くらい言えよ」
 と星来。
 ミノルはさらに憮然とした。
「おい、星来!」
 すると、星来だけでなくもう一人の方もいっしょに
「なに?」
「なんや?」
 と返事をする。ミノルは一瞬訳がわからなくなった。
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