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第六章

 直子だった。
「どうしたんだ、いったい」
「家出してきた」
 ミノルはため息をついた。
「おい、独身時代はともかく、いまのお前は結婚している人妻なんだぞ。少しは落ち着けや」
「い〜や、許せん。もう別れる。離婚する」
「あのなぁ……」
「住むとこ決まるまで厄介になるから。とり合えずシャワー浴びさせて」
 言いながら服を脱ぎ始めるのでミノルは慌てた。
「おいおい、人妻がよその男の家で服を脱ぎ始めるなよな!」
「人妻とよその男といえばまずいけど、友達だからいいじゃん。女友達の家に泊まりに行ったりしたとき、平気でお風呂にも入るし、一緒に入る事もあるから。なんならミノルも一緒にシャワー浴びる?」
 どこまで本気でどこまで冗談なのか。ミノルはカマをかけることにした。
「そっか、“友達”だもんなぁ。じゃ、お言葉に甘えて俺も一緒にシャワー浴びるわ」
 と、服を脱ぐフリをしようとしたその時──。




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