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第六章

「お前、ゲームは好きだよな?」
「え? ああ」
「ゲーセンのゲームじゃなくて、家庭用ゲーム機とかはどうだ?」
「嫌いじゃないけど」
 ミノルは小さく「おっけ〜い」と言いながら鞄からゲームボーイ二台と通信ケーブルを取り出した。
「同僚から借りてきた。何種類か対戦型のゲームもな」
「ゲームするためだけに高い金払って店に来たのか? バカじゃないの?」
「バカとは失礼だな。せっかく仕事で疲れてるだろうと気を使ってやってるのに」
「それはいいけど、一応これも仕事だから、これじゃあサボりになるよ」
 星来の言葉にミノルはニヤっと笑った。
「しっかりプロ意識あるな。感心感心。でも、サボりにはならないぞ。俺もゲームしたい気分だったからな。客が満足さえしたら仕事をこなした事になるんじゃないのか? な、メグミちゃん?」
「確かに、話さえしてくれたらいいって客も時々はいるけど……。でも……」
「なんだ? そんなにサービスしたかったら仕事が終わった後でゆっくりやってくれよ。店外だから本番付きで」
 冗談半分に言うミノル。
 結局、制限時間を超えて、個室のインターホンが鳴るまでゲームに熱中してしまう星来とミノルであった。

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