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第六章

「ただ、その、アイツ、私でない私が好きみたいで……」
『星来ちゃんでない星来ちゃん?』
 星来は、自分の職業から、何から何まで直子に話した。星来が風俗嬢だと知った直子は一瞬驚いたような声を上げたが、あとは黙って聞いていた。
『なるほどね。ヤツを客として店に招待したその夜に星来ちゃんの家でエッチしたのね。でも、ヤツは星来ちゃんではなくメグミちゃんだと言い切って……か〜。意外と可愛いところあるのね〜。でも、それは照れ隠し! 間違いない!』
「じゃあ、好きだと思っていいのかな」
『そうね! うん! 嬉しい?』
 一瞬顔がほころびかけたが直子の問いに顔をブンブン横に振った。電話口だから見えないのだが。
「そ・そんなことないよ!」
『はいはい、りょうか〜い』
 その後、しばらく世間話をしてから星来は電話を切った。鏡を見ると、クールを通しているはずの自分の顔がだらしなくなっている事に気付く。両手でパンパンと頬を叩いて表情を戻した。





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