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第五章

 星来が自分の仕事をミノルに告白したのは、ミノルも風俗に関わりのある仕事をしているから、という理由だけではなかった。以前星来が付き合ってきた男性は、自分の彼女がそういう仕事をしていることを知ったら辞めさせようとするか別れようとするタイプの人種ばかりだったのだが、ミノルに対してはミノルの職業を知る前から「彼には全て話せる」という予感がしていたからだったのだ。「解ってくれた」という思いが星来の顔をほころばせたのだ。
「アンタは私がこういう仕事していても辞めろとか言わないの?」
 念のためにミノルに聞く星来。
 ミノルは今日の星来の口調が以前に比べてかなり柔らかくなっている事に気付いた。今まで無理に突っ張っていた部分が自分の仕事を打ち明けた事で無くなったのかも知れないと思ったが、あえてぶっきらぼうに
「別に辞めさせる理由なんて無い」
 と答えた。
「付き合っているといっても形だけで、本当は彼氏・彼女の仲じゃないからってそういうことを言うのかな」
「お前、この仕事に誇りを持っているんか? ただ遊ぶ金欲しさでやってるだけか?」




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