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第四章

「だいたい今日はなんなんだ? 何が目的に街へ出ようってなったんだ?」
 ミノルの問いに
「ゲームとはいえ、私とアンタは付き合ってる事になってるだろ。だったらデートとかそういうこともするだろ」
 と答える星来。
「デート? これがか?」
 一緒に歩く以上に別行動の方が多いデートなんて聞いた事が無い。これが直子なら有無をも言わさず引きずりまわすところだ。
「ふ〜ん、デートだったんだ。俺は明日は遅番だから夜はゆっくりできる。しかももう夜も更けてきた。近くにはホテル街もある。この先どうなるか……?」
 からかい半分にミノルが言った。星来は少し考えてから
「私は別に構わないよ。そういうことも付きあってる者同士はするんだから。それに、既に一回してるし……」
 と答える。
「冗談に決まってるだろ。帰るぞ」
 ミノルは言いながら何気なしに星来の背中をポンと軽く叩いて駅へと向かった。
 やべ。直子とかと同じ感覚で思わず叩いてしまった。鉄拳制裁だ……。
 内心ビクビクしていたミノルだが、星来は一瞬ムッとした表情を浮かべただけで何もしてこなかった。

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