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第四章

 デッキからテープを取り出ししげしげと眺めてみる。
「おかず……ねぇ。細かくみじん切りにしてふりかけにでもしろってことか? んなわけねーか。それにしてもあいつ、ようやくゲームに飽きてくれたと思ったら、忘れた頃にやってきやがった。天災みたいな奴だな」


 次の日、ミノルは仕事が休みだ。星来は下駄箱の奥から一度しか履いたことのないハイヒールを取り出した。
「ちょっと私が低いくらいで、ほとんど同じ身長なんだよな」

 近所のコンビニから朝食を買って、アパートに戻ったところでミノルはため息をついた。
「朝飯か?」
 言いながら立ち上がる、ため息の原因――星来――。一瞬ミノルは圧倒された。立ち上がった星来が自分よりはるかに高いのだ。足元を見るとハイヒールだった。
「お前でもそんなの履くんだな」
「たまにはな。それより今日休みだろ。食い終わったら街にでも付き合えよ」
「なんでお前なんかと……」
「ゲームに負けても言いの?」
 ミノルは渋々了解した。
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