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第四章男女が密室に二人きり。これだけでも何か起こりそうなシチュエーションである。しかも、二人して裏もののアダルトビデオを見ている。「……なぁ、おい……」 お前何考えてんだ? と言いかけたその瞬間、ミノルの顔面に星来の拳がめり込んだ。 「うるさい。気が散る」 数十分後、ビデオは終わり、画面には砂嵐が映った。 「まぁまぁだったな。ん?」 星来はミノルの顔を見て怪訝そうな顔をした。 「なにアンタ、鼻血出してんの? いやらしい奴だな」 「この鼻血はその鼻血じゃないぞ……」 先ほどモロに顔面を殴られたのが原因だ。 「ま、いいけど。さっきも言ったけど、ウチにはデッキがないからアンタに貸しといてやるよ。今晩のおかずにでもしな。それじゃ、邪魔したな」 言いながら星来は立ち上がり、振り向かずに部屋を出て行った。ミノルはブツブツ言いながらティッシュを鼻に詰める。 「鼻骨でも折れたらどうすんだよ。ったく、無茶しやがる……」 |
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