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第三章

 ピンポーン

 チャイムが鳴った。
 ミノルがドアを開けると、いきなり
「お〜! ミノル〜! 来てやったぞ〜! はい、本命チョコ!」
 と元気よく直子が綺麗にラッピングされたチョコレートを出した。
「本命って……、お前、旦那がいるだろ?」
「だって、友達の中で一番好きなのはミノルだもん! 旦那には、旦那だから仕方なく義理であげるようなものよ。結婚してなかったら絶対あげないもんね」
 旦那に対して義理チョコ? なんかどこかで聞いたような……。
 等と話していると、部屋の奥から星来が顔を出す。それに気付いた直子は
「え゛? 彼女さん、いるじゃないの。あ・あたしはミノルが来ていいって言ったから来たんだよ! 修羅場になる前にあたしは退散……。マイダーリンのところに帰らなきゃ……」
 と慌て出した。ふざけて言った本命チョコだとか一番好きだとかいう言葉を星来に誤解されたらまずいと思ったらしい。
「ま、いいから。おい、ちょっとこっち来い!」
 ミノルは星来を呼び寄せた。面倒くさそうに星来が来る。


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