もどる

第二章

「披露宴が終わったら帰っていいよ。明日は仕事だろうから二次会までは出なくていいから。東京までは新幹線で帰って、そこから家まではそのお金を使ってね」
 ……なんて用意周到な奴……。招待状に出席と返信しようが欠席と返信しようが、ミノルが参列する事は決定事項だったらしい。
 ミノルは観念した。

「結婚したら大阪に住むのか?」
「ううん、旦那の実家が大阪だからそっちで式を挙げるだけ。旦那の仕事もあるから住むのは東京だよ。残念ね、厄介払い出来なくて」
「全くだ」
「それより、ミノルはどうなの? この前付き合ってた娘とは別れたとか言ってたじゃない。それから誰かいないの?」
 直子の問いにミノルは星来のことをふと思い出した。
「ん〜……、いるようないないような……」
「なんなの、ソレ?」
「あまり話したくない……」
 というより、どう説明していいか解らなかった。
「ま、いいか。そのうち解るでしょ。あたしも東京に住むんだからいつでも会えるし」
「あまり会わせたくないな……」
前ページ
次ページ