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第二章

 目が覚めると、全く見覚えの無い風景が目に飛び込んできた。
「お・おい、ここどこだよ?」
「東名から名神高速に乗ったあたりかな?」
 いつの間に名古屋を越えていたんだ!?
「ちょっ、どこへ行くんだよ!?」
「大阪」
 そういえば式場は大阪だとか書いてあったような無かったような……。
「……もしかして式っていうのは……今日?」
「車に素直に乗ったのは、招待状をよく読んでなかった証拠だね」
 直子は勝ち誇った顔をした。
「も・戻せ!」
「今から引き返したら式に出れなくなっちゃうよ。結婚式に欠席する花嫁なんて前代未聞よ」
「男、それも元彼氏同伴で式場に行く花嫁ってのも前代未聞だー!」
 ミノルは叫んだが、もう後の祭りだった。
「スーツはこっちでレンタルしてるから。あとこれ、どうせ金欠だろうから祝儀はあたしが立て替えておいたからね。受付でこれ出すのよ」
 言いながら祝儀袋をミノルに渡す直子。
「あ、あとこれもね」
 とミノルに封筒を差し出す。見ると新幹線の切符とお金が入ってた。
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