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第一章

「よ・よぉ〜し! やったろうじゃねぇか!」
「そうでないと面白くないね」
「じゃあ第一回戦だ」
 ミノルの言葉に星来は
「一回戦?」
 と怪訝そうな顔になる。ミノルはニヤリと笑みを浮かべ、不意に星来をベッドに押し倒した。ここで一気に勝負を決めてやるつもりだった。
「な・何!?」
「付き合うってことはこういうこともするんだぞ」
「こういうことって……、セックス……?」
「ああ。根を上げるってのも負けの条件だったよな。ここで拒否したらお前の負け。ゲームは終わりだ」
 ミノルは別に本気でやるつもりは無かった。あくまで脅しのつもりだった。いくらなんでも嫌いな人間に体を許すはずは無い。が、それは誤算だった。
「い・いいよ……。やろうじゃないの」
「冗談じゃないんだぞ、本当にやるぞ!」
「だからいいって言ってるでしょ」
「本当の本当にやるって言ってるんだぞ!」
「やるんなら、早く私の服でも脱がせたら?」
 勝負をかけたつもりが、逆に勝負をかけられている。ミノルは躊躇してしまった。
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