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第一章

「じゃあ、その、クリーニング代だけでも払わせて?」
「いいって」
「じゃあ、どうしたら許してくれるかな……」
「許すも許さないも、怒ってないって言ってるだろ」
「いや、怒ってる」
「怒ってない」
 しばらくこんな調子で言い合いを続ける二人。……が、
「な・なによ、謝ってるのに!」
 不意に星来が大声を上げた。抑えよう抑えようと思っていたミノルだが、この言葉でそういう理性がぶっ飛んでしまった。思わず売り言葉に買い言葉で
「なんだ? 人にビールぶっかけといて、今度は逆切れかよ!」
 と叫んでしまったミノル。内心「やばい」と思ってはいたが、もう止まらなかった。他のグループのメンバーは静まり返って、何事かと注目している。
「ビールが服にかかって、拭くのもクリーニングもいいんだってね!?」
「だからいいって言ってるだろ!」
「じゃあもっと濡れてもいいんじゃない!?」
 彼女はそう叫ぶと中瓶を掴み、彼の頭の上からビールをかけた。
「なんだ、こいつ!」
 彼もビールをかけ返した。
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