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第五話「電車でGO!」『そりゃ、その気になったら君とお祖父さん、二人を抱えて飛ぶこと出来るけど……』と先生。そこにお祖父さんが 「済まないねえ。自分が飛べなくなったら、今度は高所恐怖症になってのう」 と繋げる。 ドラゴンが高所恐怖症……? 『そういうこと。私は定期持ってるけど、君はお金持ってきてないでしょ。切符代出しといたから』 定期? ああ、先生の幼馴染、愛しの田端典子さんの写真が入ってたあの定期入れ、ねえ。なんで飛べるのに定期持ってるかと思ったら、お祖父さんが飛べないからかぁ。 今更ながら、あたしはついて来たことに激しく後悔していた。人間にしか見えない御老人、紛れも無い人間の女の子、文句無しの正真正銘のドラゴン、二人と一頭(正確には一人と二頭)のあたし達は電車の中で否応無く目立ってしまっているからだ。はっきり言って滅茶苦茶恥ずかしい。 「あの、卑弥呼との付き合いがあったって先生から聞いたんですけど……」 恥ずかしさに耐えながら、先生のお祖父さんに質問するあたし。 「ああ、卑弥呼か。美人じゃった」 懐かしそうに目を細めながら言うお祖父さん。 「ワシが人間じゃったら絶対嫁にしてくれと言ってたところじゃ。そういえば、ちょっと娘さんに似てるところもあるのう」 確かに卑弥呼のことを美人と言ったよね。で、あたしに似てるところがある? つまり、あたしも美人っ |
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