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第五話「電車でGO!」先生が答える。「ドジ?」 「能力(ちから)が衰えたころに人の姿になったら、それが最後に残された能力だったみたいでの。戻れなくなってしまったワイ」 しっかり聞こえていたらしく、お祖父さんがヒャッヒャッと笑いながら言った。 人になったはいいけど戻れなくなった。確かにドジといえばドジだ……。 「あ、どうも」 ペコリと頭を下げるあたし。 「この娘さんは辰波の彼女かい?」 ニコニコと笑いながら言うお祖父さん。 この娘さん? 彼女? 誰の事? もしかして、……あたし!? 「あ・いえ! あたしは……!」 あたしは首を千切れるくらい大きくブンブン横に振って否定した。 『おジイ、俺が家庭教師を始めたって言っただろ。この娘は教え子だよ』 普段は自分のことを私と言っているのに、身内の前では俺、かあ。口調も全然違うし……。なんか意外。っていうか新鮮。 『それよりもおジイ、今日は俺のアパートに泊まるんだろ。早く行こうぜ』 先生は言いながら、駅の改札に向かった。 「あれ? 先生? 飛んでいかないの?」 |
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