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第五話「電車でGO!」

 ちなみに、ドラクエIとIIがセットになってスーパーファミコン用にリニューアル発売されたのは小学校の頃だった(今日、お父さんが買ってきたのがコレだ)。
「プレステ2とドラクエVIIIなら良かったのに……」
「なんか言ったか?」
「別になんでもありません! お土産どうもありがとうございました!」
 皮肉たっぷりに深々とお辞儀をして、包みを持って二階の自分の部屋に行くあたしであった。階段を上がるあたしの背中に
「あ〜、春美〜、ゲームもいいけどあまり夜更かしするんじゃないぞ〜」
 と、皮肉を皮肉と受け取っていないお父さんの上機嫌な声。

 自分の部屋で、あたしは改めて包みを開けた。そして、自分のテレビにスーファミを接続して、カセットを入れてからスイッチをオンにする。せっかくだからちょっと遊んでみようと思ったのだ。ちなみに、あたしにとってこれがドラクエ初体験だったりする。当然ストーリーもゲームの進め方も解らない。まず、主人公の名前をどうしようか悩む。「はるみ」にしようかと思ったけど、このキャラクターは男のようだ。迷った挙句「いちろう」にしておいた。
「竜王」を倒す為に旅立つ「(さとう)いちろう」、つまり先生。竜王もドラゴン、先生もドラゴン……。ロトの血を引く勇者がドラゴンだった……。
 思わず吹き出しそうになったけど「ま☆いいか!」とゲームをスタートさせるあたし。
 そして、明け方近くまでゲームに熱中してしまったのであった。

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