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第四話「テストはお任せ」

『ま、時間はかかったけど、パーフェクトだね。百点満点だ』


 その後は頭の中の教科書の効果的な見方を先生から重点的に教わったあたしであった。


 そして、テスト本番。あたしは頭の中の教科書を見ながら、解答欄を埋めていった(数学だけは頭の中の電卓も使った)。
 結果は冒頭にもあったように、全教科満点、クラスどころか、学年でも文句なしの一位。教科書を読みながら問題を解いたのと全く同じようなものなので、この点数は当然の事かもしれない。でもあたしは信じられなかった。確実に解けているはずの問題でも、いわゆるケアレスミスで失点する事も多いからだ(暗記がダメ、計算がダメ、ケアレスミス多発。これでよく高校に入れたものだ)。先生は『さすがにケアレスミスだけはフォローできないから、これだけは注意するように』と言ってたので、この点数は、ミスらなかったあたし自身の実力である部分もあるのだ。比率で言うと、あたしの実力が99パーセントで、先生のおかげが1パーセントってとこかな。
 ……なぁんて嘯いてはみたけど、どうもいまいちピンと来ない。あまり良くない成績を少しでも上げる為に家庭教師を雇ったのに、これじゃあまるで、マラソンでスタートした瞬間、ゴールにワープするようなものだ。

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