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第四話「テストはお任せ」

『全教科教えてくれと言ったのは君の方だよ? 私は英語だけしか契約してないから無視してもいい立場なのに、好意でやってあげたんだよ? やる気あるの?』
 ぐうの音も出ない……。やっぱりこの場合、あたしに非があるんだよな……。
『でも、今からだと時間無さ過ぎるな……。普通にやったらテスト全教科九十点以上なんてムリか……。こうなったら裏技を使うしかない……』
 先生はそう言いながら部屋を出ていった。あわてて追いかけるが、先生はブツブツ言いながら(とぼとぼと珍しく歩いて)帰っていった。

「裏技……?」


 先生を怒らせてしまったことは、さすがのあたしもバツが悪くなり、先生が帰ったあとで(一週間ぶりに)問題集を広げた。
「教科書とか見ながらでもいいって言ってたよね……」
 やってみて気づいた事は、教科ごとに問題の出し方にクセがある、ということだった。ある教科は、教科書本文を読めばほとんどの回答を埋めれるが、別の教科では欄外の注釈文についての問題ばかり集中している、という風に。


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