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第四話「テストはお任せ」

『まあ、最初からこの問題集できるとは思ってなかった。ただ、やる気だけは見てみたかった。で、君のこの一週間分の記憶を探らせてもらったところ……』
「いま考えてることだけならまだしも、記憶まで探るなんて、プライバシーの侵害だぞ!」
『……心配しなくても勉強に関すること以外は探ってないから。「記憶」「過去一週間」「勉強」で検索したから』
 盛大にずっこけるあたし。あんたのテレパシーは検索エンジン(インターネット上で目的のページを検索してくれるシステム)か!?
『こういったキーワード検索以外にも、カテゴリ検索っていうのもあるよ』
 ……ずっこけたまま、まだ起き上がってないので、これ以上こけれない……。
『ま、話を戻して、記憶を探らせてもらったところ、先週私が帰ったあと、一回だけは開いてみたね』
「そ・そう! 一応開いてみたの!」
『でも、それ以後、一度も開くどころか山積みにしたまま触ってさえもいない!』
 ギクギク!
「さ・最近物覚えが悪くて……。いま思えば、毎日開いたような気はするんだけど、誤って記憶しちゃう事ってあるよね?」
『……』
 先生は白けた目であたしを見た。
「ス……スミマセン……」
 先生は深く深くため息をついた。
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