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第四話「テストはお任せ」

 と答える先生。ウチの家族以外の人がわんさかいてもあたしが結婚できる保証は無いんだけどな。現在彼氏イナイ歴十七年。
『心配しなくても世界は広いんだから、君と結婚しようっていう物好きな人も一人くらいは出てくるよ』
 しっかりあたしの思考を読んでる先生。しかも何気にすごく失礼だし。
『私もそろそろ適齢期だからなあ……。幼馴染の典子ちゃんも結婚しちゃったのはショックだったなあ』
 あたしは思わず、椅子ごと後ろにずっこけた。
「の・典子ちゃん!?」
 後頭部をさすりながら素っ頓狂な声を上げる。
『あ、恥ずかしいなあ。思わず喋っちゃったよ。田端典子ちゃん、すごく可愛くていい娘だったんだ。写真見る?』
 言いながら鞄から定期入れ(電車より早く飛べるのになぜ?)を取り出して、そこに入れてある写真をあたしに見せた。……人間のあたしには先生とどこがどう違うのか見分けがつかない……。第一、男(雄?)と女(雌?)の違いさえも判らないぞ。
「あ、ホントだ。美人ね」
 一応先生の気分を害したらいけないので言っておく。あたしって結構気を使うタイプなんだ。……って、思考読まれてたら意味無いけど。
『そうなんだよ! 美人で頭も良くて気立てがいいんだ。おまけに綺麗で聡明で性格がいい。そのうえべっぴんで賢くて心が美しいんだ』

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