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第四話「テストはお任せ」

『だからその、気の無い返事は……。そうか、たったこれだけの問題集で九十点以上取れるのかどうか不安なんだな?』
 一教科につき、およそ二百ページが十冊。
「逆だよ! 滅茶苦茶多いじゃん! これだけの問題集、全ての解答欄を埋めれるくらいの実力あったら、家庭教師なんていなくても自力でいい成績取れるよ!」
 思わず大声を上げるあたし。まあ、当然の反応だろうね。
『心配しなくても、教師料金は据え置きだから。契約している英語の分だけでいいよ。あとはサービスだからね』
 ……無視かよ。
『一週間後に答え合わせするから、この問題集はそれまでの宿題だよ』
 しかも期限まで決めてるし。
『私の教え子から東大合格者が出たらドラゴン仲間に自慢できるぞ』
 おまけにどんどん勝手に盛り上がってるし。あたしは別に東大志望じゃないよ。どっちかって言うと大学じゃなく専門学校志望だし……って、“ドラゴン仲間”!?
「先生にお仲間がいるの!?」
 あたしが聞くと
『当たり前でしょ。私の家族だけな訳無いじゃないの。でなきゃ絶滅してしまうよ。人間だって君とその家族しかいなかったら、君は結婚相手もいないわけだから、君の代で人間が滅びるんだよ?』

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