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第三話「学校へ行こう」

「校長先生、大変です! ウチの中村が、魑魅魍魎に襲われてます!」
 と、校舎のほうからあたしのクラスの担任の先生の声。おいおい、いくらなんでもドラゴンに魑魅魍魎は全然違うと思うぞ。
「あの先生、ちょっと抜けてるところがあるから、あまり気にしないでね」
 ず〜ん……(落ち込んでいる)。
「駄目だこりゃ」
 このままだと埒があかない。あたしは優しい口調でなだめるのはやめにして、陽気に明るく徹底的にヨイショすることにした。
「もう〜、あんなの気にするなんて、バカじゃない? 先生は由緒正しき家系の、佐藤一郎之介辰波なんだよ! お父さんが蒙古から日本を救って、お祖父さんが卑弥呼と友達だったなんて、すごい事だよ! あんな連中の戯言を気にするような器じゃないはずだよ! なんたって、先生はスゴイんだから!」
『そんなに……すごいかな……?』
「スゴイ、スゴイ! もう、日本一、いや世界一すごくて素晴らしい先生だよ!」
『う〜ん、なんか元気になってきたぞ!』
 単純な奴。
 と、先生が急に顔を上げたものだから、校舎に避難した生徒・先生達は悲鳴を上げた。


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