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第三話「学校へ行こう」

 と、そのとき──(またかよ)。
「春美……? 春美よね!?」
 校舎の方からそんな声。見てみると、窓のところに同じクラスの友達がいた。
「あ、おはよ〜!」
 のんきに挨拶するあたし。
「おはよ〜、……じゃなくて、早く逃げて! 食べられちゃう!」
「食べられる〜? なに言ってんの〜?」
「春美には見えないの!? あなたのすぐ横に妖怪変化がいるじゃない!」
 この言葉に先生は傷ついた模様。
『あんまりだ……。いくらなんでも妖怪変化なんて……。化け物よりもさらに酷い……』
「あ、先生、あの子にはあとであたしがよく言って聞かせるから、許してあげてね」
 あたしは慌てて先生に向き直ってなだめはじめた。それが(遠くにいる)校舎の友達には、あたしが“妖怪変化”の存在に気付いて、恐怖に足がすくんで動けなくなった状態に見えたらしい。
 そんな感じで冒頭場面に戻ったわけだ。やれやれ。
「先生、どうしよ。いまさら送ってもらっただけだと言っても信用してくれないと思うし」
 あたしが声をかけても、先生は深く傷ついたのか、俯いたまま答えない。



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