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第三話「学校へ行こう」

『次、君の家に行くときは問題集を十五冊用意するから。全部終わるまで帰らないからね』
「……はい……」
 一冊でもムリだ……。

 と、そのとき──。
「うわ──!!」
「化け物だ──!!」
 こんな声が下から聞こえた。何事かと下を覗くと、あたしの学校の生徒達が、先生を下から指差しつつ悲鳴を上げてる。逃げてる生徒も多数。
『ここの学校の生徒は私のことを知らないらしいね。でも化け物はひどいよな。君の言った怪獣の方がまだマシだよ』
 たいして違わんし。
「とりあえずこのまま下に降りて。ここまで来て遅刻するのも馬鹿みたいだから」
『了解』
 さらに降下する先生の姿を見て、生徒達はクモの子を散らすように逃げ惑った。校舎に避難する生徒も多数。こんな状況なのに、平然と遅刻になるから降りてというあたしも、よく考えたらとんでもないやつかも知れないな。それに応じる先生も先生だし。
 校門の前に先生は無事着陸した。ストンと先生の背中から地面に飛び降りるあたし。そして腕時計を確認する。よし、まだ遅刻じゃないぞ。
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