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第三話「学校へ行こう」

『なんでいきなり首を絞めるんだよ!? 落ちるところだったぞ!?』
 ここでいう“落ちる”は、文字通り落下するという意味か、それとも意識を失うという意味か、どっちだろう?
「めずらしい。先生も大声上げて取り乱す事あるんだね」
『学校に行くのはやめて、そのへんの山奥にでも置き去りにしてやろうか』
「あ〜、ゴメンゴメン、ゆるしてね」
 あたしは言いながら先生の頭をなでなでする。人間の年齢に換算してもあたしより年上、実年齢だと長寿日本一の人よりもはるかに高齢の相手に何やってんだろ。

 とかなんとかやっているうちに、先生はスピードを緩め、空中で停止した。そしてばっさばっさと翼を羽ばたかせつつゆっくりと降下していく。下を見ると学校の校門前だった。
「もう着いたんだ。早いね」
『当たり前でしょ』
「わぁ、先生、スゴイ。ながれいしだね、りゅうせきだね、さすがだね!」
 思い切りヨイショしまくるあたしであった。これでさっきの首絞め事件も帳消しにしてくれるだろう。
『甘い』
「へ?」


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