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第三話「学校へ行こう」

『仕方ないな、ほれ』
 先生は言いながらしゃがむ。
「ほれ……って?」
『飛んで行けば、今ならなんとか遅刻しないで済むよ』
「あ、なるほど。それは名案ね」
『感心してないで早く』
 というわけで、あたしは先生に学校に送ってもらうことになった。
『飛ばすからしっかりつかまるように』
「飛ばすからって、飛んで行くんでしょ?」
『そうじゃなくて。スピード出すって意味』
「あ、そう……うわ──!!」
 あ、そうか、と言い終わる前に先生は急発進。思わず落とされるところだった。
「いきなり発進すな──っ!」
『急がないと遅刻するでしょうが』
 先生は言いながら急上昇した。この前のような、人の姿が確認できないほどの高さではない。せいぜい、そのへんの家とかにぶつからない程度の高さだ。それでも落ちたら大怪我間違いなし、打ち所によっては即死もありえる。あたしは思わず先生の体の掴みやすい部分にギュッとしがみついた。
 と、失速して急降下し始める先生。さすがに掴みやすいといっても、首にしがみついたらドラゴンでも窒息するみたいだね。あたしは冷静に手を緩めた。
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