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第三話「学校へ行こう」

 その日の朝、あたしはたまたま寝坊した(あくまで“たまたま”だからね。普段は早起きなんだから。寝坊なんて一週間に五日位しかしないんだもん)。慌てたあたしは、急いで朝ごはんを食べてから家を出て学校に向かった。……すぐに学校に行っても遅刻は免れないほどの切羽詰った状況だったけど、あたしの一日は朝ごはんから始まるのだ。これは物心ついたときからの習慣で、完全に体に染み付いているから、朝を抜いたりしたら生活リズムが狂ってしまうのだ。寝坊した時点で既にリズムが狂ってる? ほっといてよ。

 そんなとき──。
『あれ? こんな時間にどうしたの?』
 上空から声がするので見上げると先生が飛んでいた。
「こんな時間って……、今は朝だよ? 登校中に決まってるじゃない」
 あたしが答えると、先生はあたしの横に着陸する。
『いや、だから、今ごろこんな所にいたら遅刻するんじゃないの?』
「仕方ないでしょ、寝坊したんだから」
『遅刻すると解っていながら、なんでゆっくり歩いてるの? どうせ走っても遅刻だと開き直ってるのかな?』
 そう、あたしはゆうゆうと歩いていた。でも先生が言うように開き直ってるわけじゃない。
「朝ごはん食べ過ぎて走れないのよ」
 あたしの言葉に対する先生の反応は大きなため息だった。
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