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第二話「名前は佐藤一郎」

「ところで先生って火は吐けるの?」
 先生の部屋に上がりこんでポテトチップスをかじりながら聞くあたし。ドラゴンもこんなジャンクフードとかスナックとか食べるんだな。
『あのねぇ、ドラゴン、イコール、炎なんて発想はダメだよ。ドラゴンが口から吐くものは総称してブレスって言うけど、種類によっちゃ電撃のブレス、閃光のブレス、冷気のブレス等、色々あるんだから』
「そうなんだ。それじゃあ先生は火ではないんだ」
『いや、火だよ』
 お〜い……。くどくど説明しておいてソレかい……。
「じゃ、吐いてみてよ」
『だめだよ』
「なんでよ?」
『こんな木造のアパートじゃ火事になったら困るし、そもそも人が住む町では危ないよ』
「とかなんとか言って吐けないんじゃないの?」
 さすがに先生、少しムッとした御様子。
『そこまで言うなら仕方ない……』
 そう言うと立ち上がって、あたしの腰に手を回し、そのまま……。
「わ──! なんなの!?」
 あたしを捕まえたまま窓から飛び立った!?
「ちょっと! どうするのよ!?」
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