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第二話「名前は佐藤一郎」

「いわゆる東洋の龍ならともかく、先生はどこからどう見ても西洋のドラゴンでしょ? なんでそんな日本的な名前なの?」
『お祖父さんの代で日本に帰化して、お父さんの代からかな? こっち風の名前になったのは』
 そんな前からこの国にはドラゴンがいたんだ。あたしは先生の『恐らく、幼い頃ドラゴンに襲われたとかいう事があって、その記憶が今もなおトラウマとなってしまっているんじゃないかな?』『見たことがない? 珍しい人ですね』という言葉を思い出した。
 でも、ドラゴンって多分人よりもすごく長く生きるだろうと思う。お祖父さんの代って何百年前?
「あの……、日本に帰化したのっていつの話?」
『確か聞いた話によると、ヤマタイコクのヒミコとかと親密な付き合いをしてたとか聞いてるけど』
 おいおいおいおい……。
「邪馬台国ってば、今でもどこにあるのか論争してるほど謎に包まれてるじゃないの。だいたい先生何歳?」
『二十五歳』
 お〜い……。
「お祖父さんがそんな大昔にいて、なんで先生はたったの二十五なのよ!?」
『あ、ゴメン。人間で言ったら二十五って事だよ。本当の歳は……』
「ストップ! お祖父さんがそんな大昔って事は先生も相当な歳だろうって事はわかったから。それにしては佐藤一郎ってあまりにも現代的な名前だと思うんだけど」

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