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第一話「先生がやってきた」

「新聞の投書欄で家庭教師しますっていうのを読んでよ」
 と、平然と、あくまで平然とのたまった。
「新聞……?」
「そうよ」
 ……ちょっと待ってよぉ……。なんなのこれって……。そうだったんだ、最近はドラゴンも新聞読んでるんだ……。まったく、世の中ってヤツは油断も隙もありゃしない……。
「で、今後もお願いしていいの?」
 教え方は悪くはない、むしろ解りやすかったけど、やっぱり人ではないという部分は気になるし……。でも話のタネになるかな。ドラゴンに教えてもらってる子なんて、うちのクラスにもそうそういないだろうし(この時点であたしは「まず有り得ない」という発想が既に欠落している。さすがこの親にしてこの娘ありってとこかなぁ)。
「はっきりしなさい!」
 お母さんは笑顔のまま青筋立てた(ってどんな顔?)。
「は・はい! これからもお願いするです!」





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