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第二話「名前は佐藤一郎」

 その日、お母さんは用事で家を空けていた。留守番していたあたしは、一心不乱に読書に耽っている(漫画だけど)。

『いかん! ブルードラゴンじゃ!』
『ブルードラゴン……?』
『奴が呼び出した邪悪な竜じゃ。ドラゴンには魔法は効かん』
『魔法が効かない!? どうすんだよ、じーさん!』
『お前の剣で倒すしかない』

 ……なんか読んでて馬鹿らしくなってきた。
 その時、玄関のチャイムが鳴った。あたしは
「はあい!」
 と言いながら部屋を出て階段を下り、玄関に向かう。
「どなたですか?」
 とドアを開けると、玄関先に立っていたのは新聞の集金のおばさんだった。そういえばお母さんが、そろそろ集金が来る頃だから、自分がいないときに来たらタンスの中にお金があるから払っといてとか言ってたな。
「はい、どうぞ」
 あたしは、お母さんの部屋のタンスからお金を取り出しておばさんに払った。
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