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第一話「先生がやってきた」

『はい、どうぞ』
「いやぁ、すまないねぇ」
 先生(?)は、参考書などが入った鞄からライターを取り出して、お父さんの煙草に火を点けた。慌てて止めようとしたあたしはその場でずっこけて、勢い余って床で顔面を擦りむいてしまった。
『あれ? どうしたのかな?』
「……なんでも無いよぉ……」
 顔を押さえて答えるあたし。
 そういえば勉強中、いきなり大きく息を吸い込んだときも火を吹かなかったし、今もライターだし……。ひょっとして火なんて吹けないのかな? ということはやっぱり着ぐるみか何かで、中には人が入ってるのかな? たまたまテレパシー能力のある人だったと考えたら…。
『それじゃあ失礼します』
 先生(?)は玄関先で翼をばさっと羽ばたかせ、夜空に向かって飛び立った。……やっぱり本物か……。

「それで、今後もあの先生にお願いしていいの?」
 とお母さん。だけどあたしはその前に聞きたいことがある。
「今後よりもとりあえず今日だよ。いったいどうやってドラゴンなんかと連絡なんて取ったの?」
 あたしだけじゃない、読者のみなさん(?)も疑問に思ってるはずだ。だけどお母さんは

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