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第一話「先生がやってきた」

 それにドラゴンが存在する時点で思い切り不条理なんだけど。
『若い頃は結構グレてて無茶もしたからなぁ』
「グレ……てた?」
 あたしの頭の中に伊福部昭の曲が流れて、街を(なぜか)巨大な先生(?)が蹂躙している光景が浮かんだ。
「かなり……そーぜつなものを想像してしまったんだけど……」
『あのねぇ。私とそのへんの怪獣を一緒にしないで欲しいな』
 心配しなくてもあなたは立派な怪獣です。

『まぁ、雑談はこのへんにして勉強勉強』
「はいはい」
『「はい」は一回』
「はい」
 ……ん? 待てよ? なんとなく雰囲気に飲まれてしまったけど……、これってまるで家庭教師とその教え子の会話じゃないの……(だからそうだって)。
『そんなに私の見た目が気になるのかな?』
「あ・いや、そーゆー訳では……」
 あるけど。
『別に気を使ってくれなくてもいいよ』
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