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第一話「先生がやってきた」

──言葉の意味は解るけど声帯などの違いがあるから喋るのはニガテ──
 なるほど、やっぱり体のつくりの違いはどうしようもないからねぇ……。……て、言葉の意味、解る……? マジ?
 あたしは思わず先生(?)の姿をまじまじと見た。ワニみたいな顔にツノが何本か生えている。首はひょろ長く、尻尾の生えたずんぐりした胴体に繋がっている。手(前足?)は体のサイズに比べて割と小さめで、足(後ろ足?)は太くて短い。ウロコが全身を覆っている。そして背中には…、翼…?鳥のように羽毛に覆われているのではなく、骨組に薄い皮膜がついたコウモリのような翼だ。かなり大きくて、飛ぶ事も出来そうだ。鳥は他の動物の前足にあたるものが翼になっているし、コウモリの翼もそうだ。でも先生(?)は手(前足?)がある上に翼がある。骨格的に一体どうなっているのか全く見当もつかない。それにしてもこの姿……。
「ド……ドラゴン……?」
 そう、ファンタジーやロールプレイングに出てくるドラゴンそっくりだ。
──そうです。私はドラゴンです──
 ……なるほど……って、なんでドラゴンがこんなところに!?
──そんな事より勉強!──
「はいはい」
 もう投げやり。
──「はい」は一回!──
 先生かよ(あ、先生か)。
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