もどる

第一話「先生がやってきた」

「この娘は……。お母さんはあなたを人を見かけで判断するような娘に育てた覚えは……」
「人(類人猿ヒト科ホモ・サピエンス)じゃないでしょが!?」
「何が気にいらないかは解らないけど……」
 みんなだって。
「……とにかく来てもらってるんだから今日はちゃんとしなさい。後のことは後で話しましょう」
 そんなぁ……。
 お母さんは、強引にあたしを部屋に入れると、あたしと先生(?)を残してドアを閉めた。
 あたしは壁に背中を付けてガタガタ震えている。と、その先生(?)があたしの方を見て、にっこりと笑って(?)、ブイサインをした(??)。
 あたしは壁を背にしたままそっと後ろに回り込んで先生(?)の背中を見た。ファスナーらしきものはどこにも無い。さっきの仕草から、ひょっとしたら着ぐるみを着込んだ人間ではないかという淡い期待が脳裏に浮かんだものの、あっさりと崩れ去った瞬間だった。
「と・とりあえず勉強しますね……。あと、あたしは絶対マズイから食べないで下さいね……。脂っこいものが好きなら美味しいかも知れないけど……」
 訳の解らない事を口走りながら机につく。最近二の腕の太さが気になってダイエットしなくちゃと思ってるためか、余計な事まで言ってしまったような気がする。
「ところで…、言葉とか解るんですか……?」
 解ったらどうとかいう訳じゃないんだけど。
 と、先生(?)は床にあった紙を手に取ってなにやら書いてあたしに見せた。
前ページ
次ページ