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18R ニューホープ前編

う、という計画が立てられた。今年は九州が開幕戦、来年は北海道が開幕戦とするらしい。
 もっとも、プロレスを宗教に例えるとそれはある意味正解かもしれない。トップどころの選手を教祖に例えると、聖地から出発して全国に布教活動していき、最後に聖地に戻る、と見ることが出来るけど、ニューホープの主役は教祖とは言えない若手選手だ。だったら地方から聖地を目指して旅をする、とした方がイメージ的にもしっくりくる。

 そんな訳で、今年は九州から出発するわけだから、西日本を中心とした巡業だ。その途中に私の地元である、T県、私が初めてプロレスを見て沙希さんと出会った体育館も組み込まれていた。私にとっては正に凱旋試合だ。

「今回のニューホープの日程は、言ってみれば愛ちゃんへのプレゼントみたいなものよ。地元で前座の黄金カードを組むんだから」
 と沙希さんが言っていた。つまり、私の地元で、私と中谷さんの試合が組まれているのだ。
「あ、あの、どうせプレゼントと言うのなら、地元では確実に勝てるような試合にしてくれた方が良かったんですけど……。晶ちゃんとか……」
「そのバカ(沙希さんは晶ちゃんをこう呼ぶ)のデビュー戦の相手して負けたのはどこの誰だっけ?」
 ……何気に沙希さん、言う事キツイ……。確かに勝負の世界に確実って言葉は無いんだから、私の申し出は失言だったかも知れないな……。


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