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18R ニューホープ前編

「じゃあなんで私の名前が……?」
「それほど期待されてるんだよ」
 私の背中にとてつもなく重いものがのしかかってきたような気がした。これがいわゆるプレッシャーというものだろうか。


 数日後、道場にプロレス雑誌の記者がやってきた。ニューホープに向けての選手の抱負をインタビューするためだ。
「やれるとこまでやるだけです」
「そりゃ優勝したいですよ」
 などなど、先輩達が言っている中で
「今年が最後のチャンス。優勝するためには手段を選ばない」
 と物騒なことを言った先輩がいた。中山先輩だ。
 確かに中山先輩にとってニューホープに出れるのは今年が最後のチャンスだ。というのも、若手が前座にいるのは三年間までだからだ。それが済むと、ニューホープの成績に関係なく海外に送り出されるのだ。帰ってきたら中堅以上のポジションで試合をするのはニューホープ優勝者・準優勝者と同じではある。実際、現在NJWPでトップでやってる選手の中には、ニューホープで結果を出していない人もたくさんいる。でも、ニューホープで結果を残したかどうかは、やっぱり選手としては気になるものだ。中山先輩も内心かなり焦っている。物騒なコメントが出るのも仕方ないのかも知れない。

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