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17R ベルト流出「あ〜あ、沙希のこと殴りそこなっちまったよ〜!!」と、わざとらしい大声を上げながら、退室した。 その日の夜沙希さんは、対抗戦には本音の部分では出たいと思っていたものの、立場的な問題で出 場が難しいといわれていた、とある選手を自宅に呼んだ。 「今回の対抗戦、最初から名前を外してしまった事、本当に済まないと思ってるよ」 「仕方ないよ。あたしはアンタやその仲間達、つまりNJWP本隊に敵対するアウトローな立場だ。こんな あたしが外敵からNJWPを守る為に立ち上がるなんて違和感ありすぎだしね。普段はその外敵の立場 にあたしがいるんだから」 「その外敵って部分だけど、ジャパンレディースは文字通り外敵だから、NJWP主催の今日の大会で は、美幸なんかもファンには完全に悪役扱いされてたんだけど、向こうのリングでは本来善玉なんだよ ね。逆にNJWPがジャパンレディースに乗り込んでいったら、こっちが悪役にされてしまう。それ、解るよ ね」 「まあ、当然の事だわな。でもスゴイ戦いを見せれば、善も悪も関係なくなるだろ。もともと悪役ではない んだから」 「そう、そこなのよ。贔屓の団体に敵対する外敵という事で感情的に悪役として見ているだけで、試合内 容によってはそんなファンの感情もぶっ飛ばす事が出来る。でも、そこに“本物”の悪役が出てきた ら?」 「……それは面白い試みではあるけど、実際に出て行く悪役にとっては危険だな。一気にNJWP・ジャパ |
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