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17R ベルト流出ほとんど身動き取れない状態でやられていたにも関わらず、意外とダメージも無い。普段の沙希さんと の“どつき漫才”で打たれ強くなっているのもあると思うけど(実際沙希さんは普段から手加減もしないで 中谷さんをどつきまわしていた)、あの状態でも即座に打たれるポイントをずらしてダメージを最小限に 押さえていたのだろう。実際、現在の中谷さんにとって、一番ダメージが深そうなのは、ついさっき沙希 さんにつけられた、ほっぺたの“もみじ”だったりする。「フェンスの外に退出か、つまんないな……」 セメント・シュート大好き人間、“潰し屋”中山先輩の弁。 しかし、再試合はあっけなく幕切れとなった。 『3分42秒、体固め。“長谷川美幸選手の勝ち”です』 長谷川さんの勝ち。つまり、沙希さんの負け……? 両陣営のセコンドがフェンス内に突入してリングに上がるのを、私は呆然と眺めていた。 リングの上で沙希さんは大の字に倒れていた。意識はあるようだけど、自力で立ち上がる事は出来な いほどのダメージを負っているみたいだ。 流血でスタミナを激しく消耗したのが敗因、という訳でもなかった。なぜなら、勝った長谷川さんも同じく リングに大の字で、セコンドの呼びかけに何とか反応できるという状態だったからだ。つまり、スタミナの 残量、ダメージの蓄積度においては全くの互角。やっぱり、照明などで時には四十度以上にもなるリン グの上で、しかも30分以上も息を整えることも無くノンストップで動き続けていた代償は計り知れないも のがあったようだ。 でも、現時点でのダメージが互角という事は、もし沙希さんが流血さえしていなければ勝てていたかも |
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