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17R ベルト流出

 とサブレフェリーが叫ぶ。が、乱闘は治まりそうも無い。

 と、そこにゴングの音。そして、リングアナウンサーの声。
『37分5秒、ノーコンテスト』
 無効試合──。
 とたんに客席からは怒号のようなブーイング。
 無理も無い。完全決着を楽しみにしていたファンにとっては、無効試合なんて許されるはずがない。
 もっとも、一部の“スレた”ファンの中には、対抗戦第一弾では決着はわざと付けないというシナリオ で、今後に引っ張っていくという筋書きなんだ、と深読みしている者もいたりする。実際、客席から
「どうせ、対抗戦第二弾も、両者リングアウトなんかで決着はつけないよ。その次はどっちかが暴走して の反則裁定。そのまた次は負けた方も傷がつかないような一瞬の丸め込み技による決着。本当の意 味で白黒ハッキリした決着がつくのは更に次くらいじゃないのか」
 なんて声も聞こえた。許されるのなら、その客を引っ張り出してビンタの一発でも食らわしたくなった。
 しかし、ビンタを食らったのは、私を始めとする、セコンド全員だった。NJWP側のセコンドは沙希さん に、ジャパンレディース側のセコンドは長谷川さんに平手打ちされる。
「あんたたち! 興奮するのも解るけど、この試合は私にとっても大切なものなんだよ! それをぶち壊 すようならセコンドなんていらないよ!」
 沙希さんが本気で怒っていた。一方、ジャパンレディース側のセコンドも長谷川さんに怒られている。
 沙希さんも長谷川さんもまだやる気満々。それを壊されたのだから怒って当然だ。レフェリーと二・三 言葉を交わす。
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