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17R ベルト流出「いいや、絶対倒してやる」そう言い合ったところで、私も石破選手も思わず吹き出した。 「使い古された言葉かもしれないけど、あんたと私の戦いはこれで終わりじゃないんだ。今日からが始 まりなんだからね」 「うん。そしていつか、今日の沙希さんと長谷川さんのように、お互いの団体のトップ同士として戦いたい ね」 私はそう言うと、石破選手に右手を差し出した。が、石破選手は悪戯っぽく笑いながら 「今日の試合前、あんたは私の握手を拒否したよね。今度は私が拒否する番。あんたをぶっ倒すまで 絶対握手には応じないから」 と言うと、私の右手を軽くパチンと叩いた。 と、ここで、ふと沙希さんを見ると、聞き耳を立てていたのかウンウンと頷いていた。 「あ〜! 沙希さん、何も知らないって言ってたじゃないですか〜!」 「え? 何の事? 私はホントに何も知らない、聞いてないよ」 「ところで、石破……さんって、すごく体が柔らかいよね」 「あ、あれね。男子プロレスのアントニオ猪木さんもそうなんだけど、私の関節っていわゆるルーズジョイ ントなんだ。あんたの関節技は、いかにも教科書に忠実って感じだったけど、だからこそ私には全く効 かないんだな。私の場合、普通の人とちょっとポイントがずれるんだけど、そのずれたポイントさえ極め れば、私だってギヴアップするよ」 |
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