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17R ベルト流出

て言いたいね」
 沙希さんのインタビューが続いていた。
「NJWPでもジャパンレディースでもない、私と美幸だけのための試合でもあるんだから。私は日本女子 プロ界で最高の選手層を持つNJWPに残って、その多いライバルたちと競い合ってトップに上り詰めた。 そして美幸はNJWPを飛び出し、当時弱小と言われていたジャパンレディースを第二のメジャー団体と 呼ばれるところまで盛り立ててきた。残った者と出ていった者が、言ってみれば今までの道のりを証明 するために戦うわけ、なんだよね」

 さっきも触れたように、下の選手は、看板を懸けて戦うのは大将に任せればいいと思っている。だけ ど、その大将である沙希さんも、本音の部分では一レスラーとしてのプライドだけで戦いたいと言ってい る。それほど沙希さんにとって長谷川さんは特別な存在なんだろう。

「それでは、今日の試合、自信の程は?」
 インタビュアーの質問に沙希さんは笑みを浮かべた。
「この試合私に下さい、なんてセリフ、自信が無いと言えないよ」
「なるほど」
「じゃ、そろそろアップするからこのへんでいい?」
「はい、ありがとうございます」

 インタビュアーが出て行ったところでモニターテレビを見ると、森山さんの試合はまだ続いていた。
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