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13R 他団体「お客さんがたくさん来るのならいいじゃないですか?」私が口を挟むと、中山先輩がチチチと舌を鳴らして 「解ってないね、そこが問題なのよ。ウチは女子プロ界でも一番選手層が厚いんだよ。ただでさえ選手が多いのに、他所の人をウチのリングに上げたら、試合数が多くなりすぎてそのしわ寄せが私ら前座の若手に来るんだよ。おそらく試合は組まれず、雑用のみにこき使われて、試合に出ないんだから当然ギャラは無し、バイト代程度のお小遣いで済まされちゃう恐れだってあるんだよ。せっかくの大イベントなのに、そのギャラの半分は他所の人に持って行かれてしまう訳。こんな理不尽な事ってある?」 と説明してくれた。 「なるほど、そうですね」 プロである以上、お金に執着するのは悪いことではない。そういう意味では納得できる言い分だと、私は素直に頷いた。 でも、それなら団体同士の全面対抗戦ではなく、因縁ある沙希さんと長谷川さんの試合だけを組めばいいんじゃないかと私は思った。もっとも、世間では既にこの二人だけの問題ではなくなっているような雰囲気になりつつあった。 「社長、若手の苦情が殺到してますよ♪」 沙希さんの追い討ちとなるこの言葉に 「はいはい、どうせみんな私が悪いんですよ〜……」 |
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